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俺は知ったサービス業の表に出ない裏側の話

2020/05/01
会社員の体験談
 俺がその会社を応募した動機は、ただ単に「なんか楽しそうだから」の他ならない。場所も家から電車で25分程度でたどり着くし、給料も普通。とりあえず何でもいいから働いておかないと。

 と妙な焦りを感じていた25歳の頃だった。その会社の業種は、「テーマパークスタッフ」と言ったところか。さらに簡単に言えば「遊園地スタッフ」のほうが分かりやすいかもしれない。

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だが遊園地スタッフといっても事務員から営業、イベントスタッフから機械設備、さらには清掃のオバチャンまで様々な社会層の人々で構成されている。

 俺がその会社で応募した部門は「イベントスタッフ」だった。志望の動機は既に書いたが、ただ単になんか楽しそうだから、という軽い気持ちの他ならない。

 毎日、子供や家族ずれが楽しんで帰る小さな遊園地のスタッフだから、きっとノビノビと仕事をしているんじゃないか。と、当時、大学時代の人間関係で軽い人間不信になっていた俺はそう思ったんだ。

 だが、その軽い考えは俺の中でも大きな誤算だった。ノビノビしているなんていう表現には程遠く、そこは「ギクシャクしている」といった表現のほうがはるかに相応しく、

 俺はその会社の中で自分の立ち位置を模索している間に、気が付かないうちその環境に汚染されていったのだった。俺は甘かった。そこは、「サービス業」だったんだ。

 俺が入社してから毎日、朝いちばんにやらされたことはトイレ掃除。毎朝毎朝、ひたすらトイレ掃除。最初の頃は「新人だから仕方ないというか、あたりまえ」という考え方を持っていた俺も、

 半年以上、ずっとトイレ掃除をさせられる事によって、次第に(なんで俺がいつまでトイレ掃除やってないといけないんだよ)という考えに変化していった。

 半年くらい経ったときからこの会社の体質が見えてきたのだが、サービス業というのは基本的に、軍隊式の階級制度のようなものが「暗黙のうちに」存在していると思う。

 分かりやすく軍隊式で表現すると、二等兵の俺はトイレ掃除担当。一等兵の先輩(俺が入って来るまで二等兵だった)は窓ふき。上等兵は掃除機かけ。兵長は二等兵~上等兵の指導

 伍長は軍曹の使いパシリ 軍曹は接客 曹長は小口現金の管理 准尉はクレーム処理 少尉から上の将校クラスから、経営や運営、人材育成、営業企画へと携わる。

 いうなれば、二等兵~上等兵までは、ほんと会社の中の「いやならいつ辞めてもいいんだぞ」という扱いを受けるのがこの新人時代といえるだろう。

 だが、その新人時代は「何年過ごしたら脱出できる」という性質のものではなかったのだ。それは「新しい奴が入って来るまで二等兵は永遠に二等兵」なのであった。

 俺は毎朝、定められた場所のトイレ掃除を行い、そして10時の開園とともに、やっとイベントスタッフとしての仕事が始まる。そしてイベントスタッフといってもけして花形の仕事ではなく、着ぐるみ担当であった。

 そんな仕事でも、俺は俺なりに同じ会社の中で、同じ境遇の奴とか、先輩ではあるがそこまで嫌な人ではない人と仲良くなっていき、俺がこの会社で2年が経過する時には、

 入社した時とははるかに状況はよくなっていた。そして俺は程なくして「人事部」への移動が決定されたのである。そして、この人事部への移動。これが俺のこの先の人生観を大きく変えてしまう切っ掛けになっていくのだった。

 遊園地の、イベント部門の、人事 この3つのキーワードは、今思ってもかなり特殊な立ち位置であった。例えば、遊園地の、飲食部門の、人事。ならさほど変わった仕事ではない。

 調理師志望や、ウェイター志望の連中を面接したり、教育したりするののだが、イベント部門の人事というのは、常識を逸した場所だったのである。

 それもそのはず。俺が勤めていたような小さな遊園地に、わざわざイベントスタッフとして働きにくる奴。(俺もそうだったが)特に女。これは一言いえば、「アイドルになり損ねたやつら」の最後の頼み綱だったんだ。

 それは、いちおう俺が勤めていた小さな遊園地といっても、ヒロイン的なキャラもいるし、MCといった遊園地の中での花形もあるのはある。

 その、世間からみればどうでもいいレベルのシガナイ遊園地の中で、ヒロインや花形のポジションを奪い取るために、このサービス業という「陰険な業界で」アイドルになり損ねた女たちが、

 お互いの足を引っ張りあい、陰口を叩きあい、他人のアラを探しまくって報告し、邪魔な相手を蹴落とそうと考えている、「オンナの腐った奴ら」の集まりだったんだ。

 俺はそんな忌まわしい場所の人事担当、つまり人材管理担当で配属されてしまったんだ。(ちなみに前任者は鬱病になって退社したそうである)

 結局のところ言い換えてみれば、俺が「辞めたければいつ辞めてもいい」という評価しかもらってなかったと言える。そんな鬱病になる奴を生み出す環境の中に、

 俺をポンと放り込むという事は、俺も鬱病になってやめてくれてもかまわない。という会社からの暗黙のメッセージなんだろう。そして俺は「正社員 人材開発部 サブマネージャー」という、

 とってつけたかのようは役職を任され、(キャバクラのボーイが、支配人とか主任とか不相応な肩書を名刺に書いてるのと同じレベル)俺は、その女の腐った奴らの面倒を見ていくことが俺の主たる仕事となったのであった。

 さらに俺は、就任した当時は気が付かなかったが、この「アイドル役、ヒロイン役、MC」の花形をやるためには、「枕営業さえも辞さない」奴らである事を、「身をもって」体験していくのであった。

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