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2019-10-16 (Wed)

【官能小説】清楚で美人な女・・2/2

「二杯目からはオン・ザ・ロックだったわね。じゃあ私も」まだ、少し残っている彼女のグラスは、中の氷を浮かべたままベッドスタンドに照らされた。「グラスを替えるわね、大ぶりのウイスキー二つとも」グラスが、彼女の白い指の中で輝いている。

「用意がいいんですね」「ええ、夜を演出するのに、手を抜いちゃいけないわ」薄暗い光のなかで、彼女の横顔は、まるで高級な娼婦のように艶かしい。少し反り上がった目尻には、染み一つもなく、唇は常に微笑んでいるかの様でいて、柔らかい。それは全く非の打ち所のない美しさである。




「はい」彼女は自分の目を見ながらグラスを手渡した。「ああ、どうも」自分は、その指に触れたとき、もはや止めることの出来ない衝動を覚えた。(駄目だ、もう我慢が)

 頭の中がショートし、唇が震えだした。それでも、何とか平静を保とうとし、足を組もうとした瞬間に腰のタオルが床に落ちた。「あら」彼女の視線が、あからさまになった下半身に注がれた。そこには、天井を真っ直ぐ向いた男がそそり立っていた。

「フフフ、凄いわね」自分は、何も言うことができなかった。彼女は、唇を少し開き、瞳を細め、左手でグラスを口に運び、やがて、冷たい右手で自分に触れた。「ア・・!」「何も言わないで。私の好きにさせて・・」

 彼女は、そうしながら、少しだけのウイスキーを飲み干した。喉の中程が、小さく動いた。そして、空になったグラスを置くと、そうっと顔を沈ませ、一瞬自分の顔を見たかと思うと”ぬるり”とその唇のなかに一物を含んだ。

 自分は、グラスを両手で持ったまま、天を仰いだ。思わず、心地好さに腰を振ってしまった。彼女の技は、それは巧みで、喉の奥深くまで含み続けていても、舌を休めることをしない。暖かい唾液が溢れんばかりに滴り、湿った音が響いた。

 空いた左手は、パニスの裏を撫でていた。顔の往復は、時には、小さく浅く、時には、深くゆっくりで、舌は、まるで別の生命体のように、尿道を舐め、竿を含んだ。

「も、もう・・」「いいわよ、ハウ、出しても」動きが、速く深く激しくなってきた。顔を回転させ、先が頬の裏側に当たる。「ハフ・・ヒ、いいのよ。ホゥ、フ、フちのなかに、ハヒ、いっても・・」 自分はたまらなくなり、、グラスを床に落とし、両手で彼女の髪を掴んだ。

「イ、イぃ・・」「グチュ、クチュクチュ・・」「ア、アァア~!」「チョうだい、ハ、あなたのぉ・・」自分は、とうとう、彼女の口に発射した。疼くべニス、両足が痙攣する。腰は、総てを吐き出すまで揺れ続け、彼女も放そうとはしない。

「あぁあー」脳裏が白くなる。耳に、彼女の喉の鳴る音が聞こえる。自分は、ぽやけた視線を落とした。彼女は溢れた白濁の液を拭っている。自分は、瞳を閉じて口を塞いでいる彼女に声をかけようとしたが、適当な言葉は浮かびそうもない。

 だが、彼女は、自分を見詰めると、舌なめずりをしながら微笑んだ。その唇が今まで自分のものにまとわりついていたかと思うと、何とも言えぬ思いがよぎった。そして、彼女は言った。

「綺麗に、してあげる」再び自分の物に顔を埋めた彼女は、子犬がミルクを舐めるかのように「ピチャピチャ」と音をたてて舌を動かした。意外なことに、さすがに遠慮したが、覚悟を決めると、今度は、少し冷静に、彼女を観察することができた。

 軽く閉じられた瞳は、長いまつげの下で微かに動いている。時々小鼻がひきついていた。唇のルージュは既に取れてはいたが、それでも深い赤色を保っている。「クチュウ、クチュクチュ。はゥ、はァ、グチュ、クチュ」

 髪は乱れ、少し汗ばんだ額に貼りついている。自分は、思わず残虐な気分を覚え、彼女の後頭部に両手を伸ばした。その時、彼女は一瞬瞳を開けて自分を見たが、直ぐ元の表情に戻った。

 自分は、構わず両手に力を入れると、彼女の首を固定し、可能な限り深く腰を突き刺した。「うっ!」先が喉の入り口近くまで達したとき、さすがに少し抵抗はしたが、舌の動きは休まなかった。自分は、腰を抜ける寸前まで引き、力を込めて再び深く埋め込んだ。

「うゥん・・」彼女は、艶っぽく喘ぎ声を上げ、首を左右に振った。だが、構わず、激しく、腰をグラインドさせた。
「ううゥううん、う、うゥゥ・・」唇から唾液が溢れ散る。力の限り髪の毛を掴み、叩きつけるかのように腰の動きを続ける。

「ううゥりう!う・・!」たまらなくなったのか、彼女はペニスを放した。いきり立っていたものが「ピチャリ」と彼女の頬を叩く。「アン、意地悪」彼女は、きつい眼で自分を呪んだ。

「うるさい・・!」自分は、彼女をベッドに押し倒し、上に覆い被さった。今までの行為で、もう、戦闘用意が出来ている。彼女は、あい変わらず自分を睨んではいたが、その瞳のなかに憎悪の色はない。それどころか、それが、そのまま彼女の部分を表現するかのように潤んでいる。

 自分は、両手を押さえたまま唇を重ねた。直ぐに、舌が自分の口の中に入ってきた。長い接吻であった。少しざらついた彼女の舌が、自分の歯の裏、歯茎の間、奥歯の上を這いずり回った。自分も、彼女の口内の隅々まで舌と唾液で味わった。

「お上手。思わずうっとりしちゃう」息を弾ませ、チラリと粘液の糸を滴らせながら彼女は言った。「そんなこと言われるの、初めてだよ」彼女は微笑み、再び眼を閉じた。自分は、そのまま唇をずらし、彼女の首筋に這わせ、ぽってりとした耳たぶに歯を当てた。

「アッ」彼女は小さく悲鳴を上げた。自分は、少し歯に力を加えた。「い、痛・・」「この野郎・・!」 自分は、ブラウスのボタンを引きちぎった。ボタンは、パチパチと弾けてシーツの上に散った。ベージュのブラジャーが現われ、その豊かなふくらみを両手で鷲掴みにした。

「あん、いたァい・・!」彼女は声を上げたが、構わず自分は寄り付いた。熟れすぎた白桃のような柔らかさで、傷を付けると、果汁が飛び散るようだ。口を放し、乱暴に剥がす。自由を得た肉塊は、緩やかに揺れる。唾液を目一杯溜めて、しやぶりつく。

 乳首は既に立っていて、噛み千切ってしまいたい衝動ににかられる。「ああァん」飢えた赤子のように揉みしだき、自分は口のなかで、その乳首を転がし続けた。

 「いや。い、いいィん」右手は、いつしかスカートのホックに掛かっていた。腰から下にファスナーを下ろす。以外に大きな音がする。身体を起こし、静かにずり下げる。ダークブラウンのストッキングの向こうに、ショーツが透けて見える。

「アアァン、いい、いい」腰の辺りで顔を止め、ナイロンをを剥がす。あからさまになった素足は、眩しい位に美しい。太股の間は、何者をも通すことができないくらい堅く閉じている。身体の動きに合わせて揺れる乳房。足の指、二本一本にまで染みの一つもない。

 よく手入れされたその爪には、ピンクのペディキュアが施され、淡い光のなかで艶やかに輝いている。「何て美しいんだ。何て綺麗なんだ」この年まで、幾人かの女性の裸体を見てきた。もちろん、映画、グラビアも含むわけだが、これ程美しい姿は見たことがない。

 そう、夢のなかを除けば。その指、一つ一つを口に含んだ。全く引っ掛かりのない素肌の隅々を舐めた。「ああん、早くゥ」女は、切ない声を上げ始めた。「まだ、まだ・・」身体じゅうが、ねっとりするまで舐め続けた。

 こうすることで、現実であることを確認したかった。今、自分の目の前に存在するものが、脳裏のなかでは、既に幻のように思えもしたからだ。「ねェ、ねェ、お願い・・」女は、最後の衣裳がなかなか取れないことにジレンマを感じたのか、頼りに自分の手を取って裳願する。
「よし、じやぁ」

 自分は、胸に顔を埋めたまま、右手の指を掛ける。そして、足の親指で、一気にそれを脱がす。彼女は何も隠そうとせず、仰向けになっていた。首だけが横を向き、上気した肌と、呼吸の度に脹らむ胸の動きだけが艶かしい。

 自分は何もせず、ただその姿を見詰めていた。多分、この世のなかに存在するであろう美の一つを、これから味わうことの出来る事びに感動していた。「ううゥん」女は、小さく声を出して身を振るった。

「ア、アア!」長い足がまとわりつく。暖かい感触が、男に絡み付く。「夢じゃないんだ。これは、夢じゃない」 女は、高々と足を挙げて、自分を奥深くまで迎え入れる。動かす度に「グジュ、グジュ」と湿った音がする。

「ああ、もっとよ。そう、もっとォ」充分過ぎる愛液。ぬるりと溢れ落ちるのが分かる。「あ、いいィい。頂戴、もっとォ」息遣いが激しくなり、自ら腰を打ち付けてくる。自分は、女の片足を高く持ち上げ、砕けよとばかりに腰を振る。

「あ、あァァ」女は身を起こし、唇を重ねにくる。その表情は、忘我の極地に陥っているようだ。「む、むゥう。はっ、ね、ねェ」女は自分を押し倒し、騎馬の形に身を任す。髪を振り乱し、下半身で円を描き、だらしなく開けられた口元からは、赤い舌がときおり覗く。

「ああ、お願い来て、一緒に来てェ!」乳房が落ちよとばかりに揺れ動き、肉体が軽く痙攣すると、彼女自身がきつく閉まり、自分は不覚にも中に放出してしまった。「ア! ああァァ・・」瞳を閉ざし、半ば口を開けたまま、彼女は自分の上に覆い被さってきた。

「ハァ、ハァ」息使いは荒く、しばらくは何を言っても耳には入らないであろう。「ピクピク」と痙攣していた。自分自身は、やがて、彼女のなかで収縮してしまうと、最後の一滴を絞り出して抜け落ちた。

 時間が空気の中で揚々と流れた。体液の総てを流しだした二つの肉体は、身動きすることすら忘れてしまっていた。
「見かけによらず、凄かった・・」彼女は、ようやく口をきいた。「大丈夫~」「何が?」「中に出しちゃったけど・・」彼女は、汗に濡れた髪を掻き上げながら言った。

「心配しないで、そんなドジな女じゃないわ」ニコリと微笑んで、彼女は自分を見た。その瞳のなかに、懐かしさを見出したのは、夢が達成できたからだけではなかった。

 季節は夏の盛りに変わっていた。あれから彼女の姿を目にはしていない。その日、珍しく父親が尋ねてきた。一人田舎で暮していた祖父が逝ったらしい。

「俺、田舎に行くの初めてだな」「そうだろう、俺も何年かぶりで戻ることになる」
「どうして、時々帰ってやらなかったの」
「ひどい人間嫌いでな、他人はもちろん、僕らでさえ逢うことを嫌っていた。」
「ただし!」
「母さんが亡くなってからだが」

 田舎の家は、太平洋が一望できる山のなかに在った。父親の兄弟が建てたというこの家は、立派ではあるが、老人が一人で住むには不釣合いであった。葬式も終わり、自分は久しぶりに親戚の中で飲んでいた。

「もう酒はいいだろう。ウイスキーでもどうだ」最後まで、近くの町で祖父を見ていた叔父がいった。「オールドパーがある、親父はこれが好きでなァ」「ヘェ、意外とハイカラだサたんだ」「ああ、親父は、ちゃんと帝大を出ているインテリだったんだ。

 村の中でも信望があって、傍らの自憎でもあった。どうしてあんなになってしまったのか」叔父は、水割を三つ作りながら言った。「そうそう、若い頃はもてたらしい。なんでも、東京から酒落た女を連れてきたらしいが、突然帰ってしまったとか」

「所詮、村には合わなかったんだろ」話を聞きながら、自分はグラスを空けた。「おっ、強いなァ。お代わりを作ろうか」「すいません。あっ、ロックでお願いできますか」叔父は、自分の言葉を聞いて手を止めた。

「二杯目からはロック。死んだ親父と同じだ」「そうだな、そう言われてみれば、こいつが一番親父に似ていないか」叔父と親父は、自分の顔を覗き込んだ。「そ、そうですか」「ああ、頭の悪いところを除けばな」親父はそう言って大声で笑った。

 三日の休暇を取っていたので、最後の日、一人で村を散歩していた。何もない田舎に無理して残る必要もなかったのだが、久しぶりの帰郷に心休ませている親父につきあわされたのである。

 山を降りると、そこは漁師町だった。赤く焼けた男立ちが、昼間から酒を坤っていた。「あれ~」男達の輪の向こうに、この村に相応しくない姿の女が立っていた。「あ、あれは」自分が近づこうとすると、女はすっと逃げ出した。

「ま、待って・・」自分は、慌てて後を追いかけた。防波堤に連なって並ぶ家は、どれも古ぼけていて、今にも潰れそ一つだった。狭い道幅一杯に、まるで己れの領地を誇示するかのように鉢植えが並べられている。

 その間の路地に女は曲がった。後を尾けながら、入り組んだ狭い道を走り回った自分は、いつしか覚えのある風景にぶち当たった。「これは・・」「そう、貴方が昔眺めた風景」その声に自分は振り返った。

 白いブラウス黒いタイトスカート。白い日除けの帽子と長い髪はその美しい顔を覆っている。そう、それは、あの甘美な一夜を過ごした女。 「そして、あなたはこの風景の中で私を犯すのよ」その女は髪を掻き上げ、端整な顔立ちをあらわしながら言った。

「俺はこんな所に来た覚えはない。それに君の言っている意味が分からない」女は、軽く微笑み、海を見ながら言った。「本当はね、この風景を見ていたのは、貴方のお爺さん」「爺さん~爺さんの見ていたものがどうして俺の記憶に」女は振り返り、動揺した自分の顔を見て微笑みを浮かべた。

「記憶ってね、遺伝するのよ。特に、強烈なものにね」女は、俺の側に近づきながら話した。「貴方のお爺さんは、束京帝大に在学中、私のお婆ちゃんと知り合った。お婆ちゃんはお酒落で進んだ考えの持ち主。

いつも身休の線が浮き出るスカートを穿き、ブラウスを身に着け、舶来のコロンを付けて煙草を吹かしていたらしい。」そんなお婆ちゃんに憧れた貴方のお爺さんは、献身的に愛して、

 とうとう学生の身でありながらお婆ちゃんを身籠もらせた。お婆ちゃんは仕方なく、父親である貴方のお爺さんと結婚するためにこの村にやってきたんだけれど、こんな田舎じゃあ好奇の眼に曝されるのは当たり前のこと。

 けれど、それに耐えられなくなったのは、貴方のお爺さんの方。そして、ある日、一人でこの辺りを歩いていたお婆ちゃんは・・」そこまで話すとと、彼女は、古ぼけた廃屋のなかに入って行った。

 その中は、表の暑さとは裏腹に、湿った空気とカビの山臭いが漂っていた。「ここよ」記憶がますます鮮明になった。自分は、この場所で彼女を凌辱するのだ。「ここで何が」だが自分は、冷静さを表しながら言った。

「ここで、何人もの男達に犯されるのよ」彼女は自分を睨み付けた。自分の脳裏には、今まで浮かび上がったことのない記憶が蘇ってきた。「荒くれた男達には、都会の繊細な衣裳は奮い立たせるに充分過ぎた。畜生のような男達は、可憐な女性を組み伏せ、辱めた」

 薄暗い小屋のなかで、女の衣裳は剥がされ、白い肉体が浮かび上がるり赤い岩のような男の筋肉が、潰さんがばかりにのしかかっていく。本能を剥き出しにした顔々。女の可憐な表情は、歪み、悲壮感を漂わせる。

 血が渉むほど唇は噛み締められ、張り詰めた乳房はちぎれんがばかりに握りしめられる。」足首が掴まれ、徐々に開かれていく豊かな太股の間に、馬の後ろ足のような腰が沈んでいく。

「けれど、それは俺の爺さんのせいじゃ・・」「いいえ、あの男たちを仕向けたのは貴方のお爺さん。そして、そういう風に女は辱めたかったは、お爺さんの本望」自分の頭に衝撃が走った。

「それで、夢のなかでは、君を・・」「私をどうするって言うの~」女は悪戯っぼく笑った。けれど、その笑顔には、暖かさのかけらもなかった。「女が煙草を吹かす、身休の線が浮き出る衣裳なんてもっての外。大きなお世話よね。

 それを承知でこんな田舎に連れ込んで来たんじゃない。けれど、お婆ちゃんは意地でもこの村に留まろうとした。そんな偏見なんか吹き飛ばしてやろうとして」彼女の表情は、いつしか遠くを見詰めていた。

「その結果がこれ。おなかの子どもはもちろん、精神もボロボロになってしまった。けれど、相手は別の人と結ばれて、見た目だけは幸せそうに月日を重ねて行く」彼女はそこまで話すとと、すっと自分の顔を見た。

「いっ、一体、俺をどうしようって言うんだ・・」「どうもしやしないわ。私が、死んだお婆ちゃんに瓜二つで、今の際にこの話を聞いたとき、私のなかにくすぷっていた記憶が何なのか、夢のなかで私を辱める人が誰なのか、分かったわけ。

 そして、ある日、貴方の姿を見付けたときにそれを確信したわ。だって、貴方は、何から何まで、お婆ちゃんが言っていた人にそっくりだもの。お酒の飲み方も、女の抱き方も」「女の抱き方~」「乱暴で、それでいて優しくて」

 そう言うと、女はブラウスのボタンを二つ外した。「当時珍しかったフランス製の香水、吹かすだけの煙草の香り。記憶は、あからさまな視覚に訴えるより、穏やかな感覚、例えば噴覚なんかに訴えたほうが蘇りやすいのよ」

「だから、君は・・」再びの笑顔は、例えようもないほど美しかった。「貴方は私を夢のなかで求め続け、愛し続けていた。あなたのお爺ちゃんは、あなたに愛することをも受け継がせて逝った。そして、わたしのお婆ちゃんも」

 女は、笑って歩を進めた。「さァ、ここで抱いて頂戴。それが貴方の願望でもあり、私の願望でもあるのよ。そして、私たちに記憶を遺伝させた人達の・・」女の開かれた胸元は、差し込む光に白く照らされて眼に眩しい。差し出された両腕は、その中にはまり込むと、二度と再び抜け出せそうにない。

「一つだけ聞きたい。爺さんは、その後結婚して、俺の父親兄弟を育てた。けれど、婆さんが死んでからひどい人間嫌いになったというが、その理由が分かるか~」「歳を取ると昔のことが蘇ってくるの。それに、美しいものはより美しく、醜いものはより醜く。

 貴方のお爺さんは人間を、他の人を嫌いになったんじゃない。より美しく蘇るお婆ちゃんの姿と、それをあんな目にあわせた醜さの狭間で、自分自身が嫌いになっただけのことよ」

 自分は、女の言葉を聞き、納得し、そして身を躍らせた。女は悲鳴を上げずに、その肉体を自分に預けた。夏の匂いは残酷で、それでいて懐かしい。喘ぐその女の表情は、遠くに口にした甘露な料理のように、身休のなかを揺さぶり続けた。



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最終更新日 : 2019-10-16